ツンデレコミュ障JKを攻略せよ【バリアブルバリケード感想】

オトメイトから発売されたバリアブルバリケード

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VARIABLE BARRICADE

 

メインキャストが急遽変わったり発売日が半年遅れになったりと色々ありましたが、奇しくもその延期された発売日が2019年4月4日となり、ついにオトメイトが公式をあげて私の誕生日を祝う形となりました。

元々薄葉カゲローさんのイラストが大好きで、ウィルオウィスプ、ワンドオブフォーチュン、レンドフルールとプレイしてきた身としては、こちらのバリアブルバリケードは制作発表の段階で購入することは決めておりましたが、まさか予想外の誕生日プレゼントという形になって驚きです。(自腹)

 

逆攻略乙女ゲームということだったのですが、どういうこっちゃいと思いきやそのまんまでしたね、まさしくヒロインが逆に攻略される。

東条家という絵に描いたようなお金持ちの家系に生まれたツンデレコミュ障ヒロインの東条ヒバリちゃんとお近づきになろうと頑張る成人済み無職4人の話です。

人並みに乙女ゲームはやってるとは思いますが、いつもなら(こういう選択肢が好きなんやろ??知ってるんやで、ワイに任せとき、幸せにしたるでな……)みたいな、どこかの某魔法使いが言っていた「都合のいい女の子を演じるというプレイになるわけですよね。こうすりゃ好感度あがんだろ〜みたいな。

でもこれ、私だけかもしれないのですが、(一生懸命だもんね、優しくするからね、大丈夫だよ)みたいな気持ちになるんですよね、謎に。同情じゃないんですけど、そんな気持ちになってしまう。特に壱哉那由太くん。

 

そんなバリアブルバリケード、通称バリバリをクリアしましたのでその感想です。個別ルートやエンディングに関するネタバレをしておりますので、少しでもネタバレに敏感な方は閲覧をお控えください

 

 

東条バリ

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とりあえず一番言いたいのは、藤田さんの声が可愛すぎる。め〜ちゃくちゃ可愛い。フルボイス最高。普通の声も恥ずかしがってる声も怒鳴ってる声も全部可愛かった。なんなら藤田さんのバリバリ発売日のブログも可愛かった。

ヒバリちゃんは見た目こそ大人びてますが、実際はごくごく普通の17歳の女の子です。ごく普通というか、素直じゃなくて不器用でコミュ障で心を開くまでに時間がかかって心を許した相手にはとことん懐く、そんな拗らせ気味の女の子です。

そもそもヒバリちゃんが4人の婚約候補を宛てがわれたのは、4人がヒバリちゃんに足りないものを持っているからという理由でした。やってみてわかるんですが、ヒバリちゃんは各ルートで全く違う女の子になります。壱哉ルートなら弱い彼を支える女の子に、大我ルートなら素の自分をありのままさらけ出す女の子に、汐音ルートなら甘えることを許容されることに戸惑う女の子に、那由太ルートなら夢見がちな女の子に

全く違う表情を見せて全く違うタイプの女の子になるのでプレイしていて楽しかったです。しかしこの子、かなり拗らせているのでおそらくではありますが共依存関係じゃないと不安になってしまうタイプの、相当厄介な子だと思います。

親もいない、祖父は怖い、頼れるのは専属執事の春日だけという人生でしたから、人との付き合い方がめちゃくちゃ下手くそなんですね。あまりに春日に管理されてきたので交友関係も薄く恋愛経験もなし。人を好きになるって、人から愛されるって、求められるってどういうこと?と、各ルートで自分と相手の気持ちに何度も何度も悩みます。

ハッキリ言って彼女の恋愛観は私は最後まで理解できませんでした。特に壱哉ルート。側から見てる分には面白いんですけど、乙女ゲームの主人公として感情移入しようとするとなるとなかなか難しいかなあ……という感じです。これ、ヒバリちゃんが今回フルボイスだったので客観的に楽しめましたが、ボイスなしだったら少なくとも途中まで感情移入して、最後で(アンタそんな……アンタの愛重すぎやろ……)となってたと思います。そのくらい藤田ボイスの可愛さの暴力がすごい。もうほんと、ヒバリちゃんの声帯が藤田さんでよかった。

あと、やっぱりヒバリちゃんの心情がわかっているというこちら側のユーザー視点だと、ヒバリちゃんの言動や行動にも納得がいきますね。逆に私が花婿候補たちの立場でヒバリちゃんの心の内を知らないまま彼女と接していたら確実に心が折れてると思う。そのくらいこの子は難解です。

 

光森

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いやもうメインヒーローじゃなくメインヒロインですね、彼。壱哉ルートは、こればかりはどう考えても壱哉に壁ありまくりすぎてヒバリちゃんがその壁を一生懸命不器用ながらも壊してあげるっていう逆逆攻略でした。

第一印象こそ女慣れしてる余裕満々の男ですが、誰よりもはちゃめちゃに豆腐メンタルの男、それが光森壱哉

でも気持ちはわかるんですよね。誰からも認められなくて愛されないから、処世術ばかり上手くなって八方美人で生きるって、そっちの方が怖くないので。だって自分の意見を言って否定されるのって、やっぱり怖いじゃないですか。自分に自信がないならなおさら。素の自分でぶつかって愛されなかったらどうしたらいいんでしょう?傷付いたら誰が慰めてくれるんでしょう?だったら初めから相手に合わせて相手の望むように生きた方が楽だし傷つかなくて済むし、そうなっちゃうんですよ。わかります、めちゃくちゃわかる。私もそう、心のどこかで相手の中の正解を探しながら会話をしてしまう。

壱哉愛されたことがないので愛し方も知りません。テンプレートみたいに甘い言葉を言うことしかできなくて、相手が本当に望むものがなんなのかがわからない、だから結局愛されないで終わってしまう。

壱哉と同じくヒバリちゃんもまた、愛されることを知りません。誰より愛されたがっているのに誰からも愛されたことがない2人だからこそ、お互いの気持ちがわかるんでしょう。

しかしながら、壱哉の真剣な告白にも疑問を感じてしまうヒバリちゃん。ここに彼女のとても厄介なピュアさが出てしまう。

あなたの恋人は私じゃなきゃダメなのか、他の人でもいいのではないか。

汐音が「どんなカップルにもその2人じゃなきゃいけない理由なんてない、出会った順番が早かっただけ」と言いました。「君じゃなきゃダメ」ってよく聞く言葉ですけど、その“君”に出会ってなかったら出会ってなかったで別の人に「君じゃなきゃダメ」って同じように思ってしまうもので。運命なんて、本当は単なる偶然なんですよね。

でもヒバリちゃんにしろ壱哉にしろ、めちゃくちゃ臆病なので、近付きたいのに自分が傷つくかもしれないから近付けないそして相手を傷付ける。最悪の未来を想像して動けなくなります、どんだけ不器用だよってかんじなんですけど。

壱哉はすぐにめちゃくちゃ泣いちゃう子で、個別ルートなんてもう延々泣いてるのですが、彼の姿にドン引きしながらもちゃんとあやしてあげるヒバリちゃんが可愛かった。このルートのヒバリちゃん、本当にイケメンすぎて困りました。

私個人的にアナザーエンドのヒバリちゃんの振り切れっぷりが好きでした。とにかく壱哉と一緒に居られるという未来が欲しくて、そのためなら手段なんてどうでもいい。自分の立場がどうなろうと、何だっていい。

ヒバリちゃんは、こと恋愛に関しては弱々の弱ですが、恋愛以外であれば誰より素早く決断することができてしまう。そういうところはさすが大企業のご令嬢ですね。わりと壱哉がうじうじタイプなので、その対比が笑えます。

ただまあ、めちゃくちゃ冷静になって考えて26歳の男が17歳の女子高生に手を出すって……まあ、フィクションの世界ですから、まあいいか……。

 

石動

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ルート入ってず〜っとニヤニヤしてました。共通ルートのときからなんとなくわかりましたが、たぶん大我だけがヒバリちゃんのことを最初から女の子として恋愛感情込みで意識してたんですよね。だって4人の中で一番ヒバリちゃんに興味ないのに、誰より早く彼女を抱きしめていたので。

大我ルートのヒバリちゃんが一番自然体で、最初こそ兄妹みたいな感じだったけどお互いを意識し始めてからもヒバリちゃんが無理してなくてすごく楽しそうだったのが印象的です。全クリしたあとだとさらにヒバリちゃんが大我を兄のように慕う姿が可愛らしく見えます。親も兄弟もいなかったので、そういう存在に憧れてたんですね。

しかし兄妹のような関係とは違う、何か別の感情がお互いに芽生えてしまう。この2人はお互い見たまんま両想いでした。可愛い。

ただそこはコミュ障のヒバリちゃん。気を許した相手には一気に一途で盲目で依存気味になってしまう。このゲームは本当にヒロインにかなり難ありなので、各攻略対象キャラの苦労が垣間見えます。

そして大我もそんなヒバリちゃんを見て不安になってしまう。自分は大した人間じゃないのに、ヒバリちゃんがやたらと「才能がある!すごい!最高!ヤバい!自信持て!」みたいに褒めまくるんですね、それはもう盲目的に

自分は完璧な人間ではないのに、あまりに自分を盲信して過度な期待を抱いているヒバリちゃんが怖くなってしまうわけです。

わかりますよね、重い人間からは逃げたくなってしまうのが普通なので。それが好きな人からの期待だったら、余計に応えられなかったらどうしようってなっちゃうわけです。相手が失望して離れていくくらいなら自分から離れたほうがいいとか、距離を置いたりなんやかんやするわけで。

なんだかんだめんどくさいけど一番可愛らしいカップルだと思います。

共通ルートの部分で「喧嘩なんてしてなんの意味があるのか」と問うヒバリちゃんに「喧嘩をして本音でぶつかって本当の関係が築ける」的なことを言っていたのですが、個別ルート入ってからはまさしくその通りに喧嘩ばっかしてましたねこの2人。それでお互い言いたいことを真っ直ぐにぶつけられたんですね。

恋愛エンドで大我の胸ぐら掴んで泣きながら怒って告白するヒバリちゃんがわけわかんなくて可愛くて大好きです。

大我のいいところは、全然理不尽に怒らないところです。もう本当に怒らない。第一印象こそヤンキーの怖い人なんですけど、そこは流石にヒバリちゃんに怒るのでは……という場面でも怒らない。心の底から優しい人でした。こういう優しい人を見ると私は無条件に私の分まで幸せになってくれと思ってしまうので、もうマジでヒバリちゃん大我のことを世界一幸せにしてあげてほしい。頼む。

 

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いわた作品には必ずと言っていいほどこの立ち位置の男がいます。ウィルオウィスプのジル、ワンドのソロ、レンドのルイのような、こういう掴み所のなくてふわふわした一番の曲者キャラが。

例に漏れず、汐音もそうでした。

なんて言っても肩書きが天性のヒモです。私がなりたい。

ただ、レンドをプレイしたことがある方ならわかるかもしれませんが、私、彼はルイと同じタイプだと思っていたんです。ヒモ気質で愛されるだけ愛されて、それで人々から必要とされるけれどどこか虚無感があって、それをヒバリちゃんが埋めてあげる〜的な。

でも全然違いました。いや、めちゃくちゃ面倒くさい男ではあるけれど、それでも一番大人だった。彼のルートが一番「これは東条ヒバリという女の子の心の壁を壊すゲーム」ということを意識していたと思う。それほどまでに彼は丁寧に慎重に時間をかけてヒバリちゃんの心の壁を砕いていこうとします。彼女が望まないことは絶対にしないし、近寄ってほしくないときは絶対に近付かない。こっちが驚くほどヒバリちゃんの心が動くのを待ち続けます。

ヒバリちゃんはそんな彼に素直になれず甘えるということを怖がりますが、それでも諦めず、ときに仕掛けるように彼女の心を解していくんですね。辛抱強く待ってあげないと、という姿勢が常に見えました。彼は自分を“赦し”だと表現します。ヒバリちゃんからしたら、なんて甘い罠でしょうか。完璧を求められ、弱っている姿なんて見せることは許されず、常に周りが求める東条ヒバリであり続けなければならない。その呪縛が彼女を縛り付けていたわけですから、彼女が汐音に絆されてしまうのは正直時間の問題でした。

従来のいわたDの乙女ゲームだと、心を閉ざしたり愛されることを諦めた男キャラを主人公が頑張って振り向かせるのがよくある展開かと思います。それだけにこのルートはものすごく新鮮でした。

儚くてか弱そうな汐音ですが、蓋を開けてみれば誰よりも強かで聡くて計算高い。それこそヒバリちゃんのものになれるのならなんでもできてしまう男です。

いやほんと、個人的に4人の中で一番頼もしかった。一番安心してヒバリちゃんを託せる男だと思います。

予想を見事に裏切ってくれて、なんだか謎に清々しい。

 

八神由太

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この子はもう最初から犬でした。わんこ。喜んでパシられ、帰ってきてよしよししてやるとめちゃくちゃ喜ぶ。無邪気なので誰からも愛される彼ですが、素直で正直で嘘がつけなくて、典型的な癒しキャラかと思いきや、話が進んでいくと意外とそういうわけでもなく。初対面からヒバリちゃんにすごく懐いているんです。しかし真相を突き詰めると彼の好意の正体がなんなのかがわかるわけですが、それがなんともヒバリちゃんの精神をゴリゴリ蝕む

なにせ那由太くんは典型的な純真無垢な少年なので嘘がつけません。彼から放たれる言葉は全て嘘偽りない彼の言葉なんですよね。対するヒバリちゃんは小さい頃から東条家という、いわゆるオトナの世界で生きてきた女の子です。その場その場で都合のいい嘘なんて簡単につけてしまう。そうして生きてきたから。周りのためなら自分の気持ちなんていくらでも殺してしまうことができる子です。

那由太くんは鈍感なので欲しい言葉なんてくれません。でもヒバリちゃんも「こういう言葉が欲しい」なんて、そんなことは口が裂けても言えません。幾度も幾度も彼を試しますが、全く何もうまくいかない。

そんな真反対の2人なので、すれ違いにすれ違いにすれ違いな展開になるんですよね。2人とも恋愛をしたことがないので、恋とか愛とか全然わからない。好きで側に居たいけど、それが恋だとは思わないだとか、単に憧れを相手に重ねているだけだとか、まあ本当にどちらからも恋愛に歩み寄れないのでもどかしい。完全に保護者目線のルートでしたね。

しかしながら、今まで自分の気持ちに正直に真っ直ぐに生きてきた那由太くん自分の気持ちを押し殺してずっと我慢し続けてきたヒバリちゃんの極端な2人の不器用すぎる関係がとても可愛かったです。

個人的に面白いなと思ったのが、一見金持ちなお嬢様ヒバリちゃんの方がワガママで、素直な那由太くんの方が許容的で良い子みたいに見られがちだけれど、まるで逆というところですね。那由太くんの好き嫌いのわかれっぷりというか、嫌いなものへの興味のなさは少し恐怖すら感じました。

 

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いや、もう見た瞬間誰しもが思いました。お前は攻略キャラじゃないんかい

イケメン執事と美少女お嬢様なんて一体何回そのシチュエーションで作品が作られたことか。

春日ヒバリちゃんの関係は物語の早々に語られました。完全なる主従関係。お互いに信頼はしているものの、恋愛感情は一切なし

プレイしてみても、その関係は変わることなく、春日は常にヒバリちゃんに厳しくありました。しかしその厳しさが、時たまかなり自分勝手というか、彼も相当なワガママな人間なんだなと思わざるを得ない。ヒバリちゃんを庇護下に置いて常に監視して、一見して東条家とヒバリちゃんのことを第一に考えているのかと思うのですが、いやいやどう考えても春日春日のことしか考えていない

一番露骨なのは汐音ルートでの彼でしたね。汐音に対するあからさまな嫌悪感は、“ヒバリちゃんを心配する執事”というよりは、“この展開を全く面白いと感じていない一人の男”でした。

この時点で何となく(ただの執事ではない)フラグビンビンだったのですが、正直真相を知った今となっても言いたいことはやっぱり「春日は異常」。

う〜ん、でもヒバリちゃんもなかなかに変な子なので、この二人はこのままでいいんでしょうね。なんか知らないけどエピローグ幸せそうでしたし。お前らそんな簡単に切り替えられるのか……って感じなんですけども。

 

 

総評として、とても楽しめました!大満足です。

ただ思うのは、これ絶対発売延期せずに10月に売りたかっただろうな〜。そして多分キャスト変更で壱哉は鳥海さんになったけれど、壱哉も梅原くんで行きたかっただろうな〜。鳥海さんの壱哉最高に可愛くてよかったし、もう鳥海さん以外の壱哉は考えられないけど。なんとなくやっぱり壱哉が梅原くんだったら、また違った感じになったんじゃないかなと思いますね……。まあ本当に、鳥海さんの壱哉は最高だったのでなんの不満もないんですけど。

花婿候補4人ということで、4人とも最初からクライマックスにヒロインが好きなんじゃないか4人とも無職なので全員ヒロインの金目当てな感じの話になってしまうんじゃないか、とかいろいろ思っていましたが、全然そんなことなかったです。どのルートも焼き増しになることなく、完全に4人とも別方向へ舵を切ってストーリーが進んでいくので、全ルート毎回新鮮な気持ちでプレイすることができました。

楽しかった!ありがとうございました!